近畿大学「英語村E3」学生のレベルアップに合わせ、最大5人の学生にスタッフが1人つき、その日のニュースなどをテーマに30分間、ディベートやディスカッションをするプログラムも昨年、スタートした(撮影/写真部・東川哲也)
近畿大学「英語村E3」
学生のレベルアップに合わせ、最大5人の学生にスタッフが1人つき、その日のニュースなどをテーマに30分間、ディベートやディスカッションをするプログラムも昨年、スタートした(撮影/写真部・東川哲也)

 ビジネス英語は、清く正しく美しく話さなければならない──。日本人の口元をこわばらせている、そんな意識からの解放に、積極的に取り組んでいる大学がある。

 近畿大学の「英語村E3 [e‒cube]」。最近増えつつある“英語カフェ”と呼ばれる大学内スペースの先駆けで、2006年11月に開設。明るくおしゃれな館内に、英語が母国語のスタッフが常駐し、学生は好きな時間に立ち寄り、英語でおしゃべりを楽しめる。本棚には英語の漫画や雑誌が並び、英語で注文をするカフェスタンドもある。

「日本人が英語を学ぶときに壁になるのが、間違った英語を使うと笑われるかもという恐怖心です」

 英語村に携わる、北爪佐知子教授(コミュニケーション論)はそう指摘する。その恐怖心を取り除くため、英語村では「遊びながら楽しく英語を学ぶ」方針を強調。ゲームや菓子作りなど、学生が参加しやすい日替わりの活動も用意している。

 今年6月に、英語村を利用している学生1千人に大学がアンケートをしたところ、「以前に比べて海外の人に話しかけられても抵抗がなくなった」と答えた人が9割近くに上った。また、「英語を勉強しなければならないと感じた」と回答した学生は、ほぼ全員に近い97%という高比率だった。一方、海外の大学へ留学する学生数も、05年度は72人だったが、13年度は597人に急増したという。

「英語村が果たす役割もますます大きくなると考えています」(北爪氏)

AERA 2014年8月25日号より抜粋