ビジネスツールのひとつであるメールは、失礼のないように心がけたいもの。しかしあまりに丁寧すぎても、距離が生まれてしまうかもしれない。

 取引先のあの人とは何度も飲みに行った仲なのに、と都内で働く40代の男性がぼやく。

「もう2年もやりとりしていて、こちらとしてはすっかり打ち解けたと思っている相手なのに、毎回『お世話になっております、株式会社◯◯、◯◯部の◯◯と申します』とメールを送ってくる。知ってるがな!とツッコミたくなりますよね。回りくどい表現ばかりで、本心がわからないから、つい不安になってしまうんです」

 メールで話がこじれて、らちが明かない、と電話をかけたり、ずっとメールだけでやりとりしていた相手と実際に会うと、メールの印象から想像したのとは全然違う人だと感じたり。メールとリアルのギャップを痛感した経験のある人も多いのではないだろうか。

 冒頭の男性は、「寒くなってまいりましたのでご自愛ください」とのよそよそしい文言に、暖かくなるまで連絡しないほうがいいのかなと感じて、その取引先とはすっかり疎遠になってしまったという。

AERA 2014年7月21日号より抜粋