異端の激安王、企業再生請負人──。

 かつて、そんな異名を取った人物が、2013年度の役員報酬ランキングでトップに立った。電子機器に内蔵するプリント基板の設計や製造を手がけ、東証2部に上場するキョウデンの創業者、橋本浩元会長だ。

 橋本氏の名前を一躍、有名にしたのは00年代の企業買収だ。不振に陥った99円均一コンビニのSHOP99、スーパーの長崎屋に相次いで出資。社員の意識改革などを通じて再生を果たし、SHOP99はローソンに、長崎屋はドン・キホーテに株式を売却し、キョウデンを大きく成長させる資金を得た。「製造業も流通業も、すべての仕事はサービス業だ」が持論。個人としても、日帰り温浴施設「大江戸温泉物語」に出資し、社長を務めるなど、異色の経営者として知られる。

 そんな橋本氏の13年度の役員報酬。キョウデンの有価証券報告書によると、その額は12億9200万円にのぼった。

 役員報酬は四つの要素で構成される。「基本報酬」と「賞与」、インセンティブとして付与される「ストックオプション(株式購入権)」、役員在任中に積み立てられる「退職慰労金」だ。橋本氏の場合、基本報酬は2200万円だが、退職慰労金が12億6800万円も計上された。昨年、会長から最高顧問に退き、創業時からの慰労金が一括で支払われたという。並み居る大企業の経営者を上回り、堂々のトップ。異色経営者らしく、花道を飾った格好だ。

AERA 2014年7月28日号より抜粋