ビジネスシーンで、メールでのやりとりは必須。しかし、無意識に相手に対して失礼な文面になっていないだろうか。ビジネスメールで気を付けるべき点とは。

 日本語学校の教員を経て、企業や自治体でメール研修・添削を20年以上担当してきた大嶋利佳さんのもとには、日々メールに関する相談が寄せられる。

 ある企業で30人の営業担当社員が書くメールをチェックしたときは、「このままお客さまに送ってよい」というレベルのメールは1通もなかったという。

 きちんとしたメールが書けるかどうか。さまざまな企業を見てきた大嶋さんだが、年齢や役職は関係ないという。本人が気づかないまま、長年あちこちにダメなメール「ダメール」を送り続けているケースもあるというから背筋が寒くなる。

「誰がどんなメールを書いているかは、多くの場合、当事者同士にしかわかりません。営業がうまくいかず、利益を損じていても、メールのせいだとは気づかない。メールがビジネスコミュニケーションのブラックボックスと化しているのです」

 ダメールには2種類あると大嶋さんは言う。

 一つは、言葉の知識不足、理解不足による間違い。「ご査収ください」「ご笑納ください」などの用語を使う場面を間違えていたり、尊敬語と謙譲語を混同しているパターンだ。

 もう一つは相手との距離が取れていないメール。目上の人や顧客に対して、「問題ありません」「対応可能です」と失礼な表現を使っているケースが多い。

 さらにこれらの合わせ技で最強のダメールというのもある。

「一見間違っていないようだけれど、実は残念なメールを送っている人が非常に多い。そういうメールを送ることは、『私は社会人としての経験と常識がありません』と発信していることと同じと考えてください」

AERA 2014年7月21日号より抜粋