カッときて夫に三下り半を叩きつける。そんな離婚は古臭いし、一文の得にもなりません。「就活」「婚活」「妊活」ときたら、「離活」だって冷静沈着に進める時代です。損をせず、幸せなバツイチになる方法とは。

 泥沼化は避けたいが、『幸せになる離活』の著書がある心理カウンセラーの澁川良幸によると、ある程度の時間をかける覚悟は必要だという。

「ほとんどの相談者は短期戦を望むが、家計を使い続けられるという理由で、あえて別居して長期戦に持ち込む人もいる。相手に離婚願望を悟られないよう、距離を置くのがコツ。別居期間が3年以上など長期になると婚姻破綻として離婚の原因と認められる場合があるため、そこから調停に持っていったほうが有利に進められます」

 タカエさん(34)も離婚まで2年間を闘い抜いた。20歳から交際していた芸術家の元夫は子づくりに非協力的。ケンカが絶えず、実家に1カ月戻ったこともある。元夫に、「2人で協力しないとできない」と懇願すると、「体外受精でもいいんじゃない?」。

 知らず知らずにたまった“小さな嫌”がついに爆発寸前に。「もし子どもを授かっても、この人とは一緒に育てられない」と悟った。

 冷戦状態の中、元夫に渡した離婚届は1回目は破棄されたが、2回目はサインしてくれた。その頃には不満も怒りも吹っ切れていて、離婚届は2人で役所に提出。離婚後も徒歩圏内の近所に住んで何度も顔を合わせ、タカエさんが引っ越す時にも元夫が手伝ってくれた。

「元夫を本気で嫌い、傷つけ合った2年間はつらかった。でも衝動的に離婚していたら気持ちの整理ができず、自分が本当に求めている幸せの形も見えなかったはず。じっくり時間をかけたことで、今の幸せをつかむこともできたと思います」

(文中カタカナ名は仮名)

AERA 2014年7月14日号より抜粋