辻さんは、最初の離婚のときに子どもの親権を手放してしまったことを後悔していたんですね。アエラの取材にも、そう話したことがありました。辻さんの強い意思やご長男の希望……。あなたは、いろんなことを考慮されたのでしょう。

 日本の法律では、夫婦が離婚すると、どちらか一方しか親権を持つことができません。多くの場合は母親が持つし、裁判でも「母親が有利だ」と言われています。

 でも、だからといって、父親が親権を手放すことは当たり前で、母親なら「人でなし」呼ばわりされるなんて、あんまりです。インターネットには「息子を捨てた母親」などという書き込みがあふれていますが、あなたと同世代の女性(40)からは、こんな話を聞きました。

 彼女の両親は、小学校に上がる前に離婚。母親はある日の深夜、彼女の姉だけを連れて家を出ていきました。長じて母親に会ったとき、こう言われたそうです。

「あなたはすごくお父さんっ子だったから、私が連れて行きたいからって、引き離してはいけないって思ったのよ」

 だから彼女は、「きっと何か理由がある、ミポリンは、断腸の思いで子どもの意思を尊重したはずです」と話していました。

AERA 2014年7月21日号より抜粋