もう、彼らなしでは成り立たない! 暮らしの中の外国人労働者 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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もう、彼らなしでは成り立たない! 暮らしの中の外国人労働者

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編集部・野嶋剛AERA#仕事
「お客様が喜ぶ仕事を誇りに思う」フィリピン人メイド 田村メルスィーさん(右)この家の主婦、桜井敏江さん(56・左)は米国在住歴もあり、メイドでベネズエラ人を雇っていた。「来てくれると家が明るくなります」(撮影/高井正彦)

「お客様が喜ぶ仕事を誇りに思う」
フィリピン人メイド 田村メルスィーさん(右)

この家の主婦、桜井敏江さん(56・左)は米国在住歴もあり、メイドでベネズエラ人を雇っていた。「来てくれると家が明るくなります」(撮影/高井正彦)

千葉県松戸市のカトリック松戸教会で洗礼を受けるフィリピン人夫婦の子ども。月2回タガログ語のミサが行われる(撮影/編集部・野嶋剛)

千葉県松戸市のカトリック松戸教会で洗礼を受けるフィリピン人夫婦の子ども。月2回タガログ語のミサが行われる(撮影/編集部・野嶋剛)

「工場の仲間と冗談を言い合うのが楽しみ」中国人技能実習生 王成行さん(右)と王イェンさん(左)受け入れ歴7年の大智鍛造所社長・大智靖志さん(中央)は「実習生はとにかく人柄重視、協調性が大事です。社員旅行にも連れていきます」(撮影/楠本涼)

「工場の仲間と冗談を言い合うのが楽しみ」
中国人技能実習生 王成行さん(右)と王イェンさん(左)

受け入れ歴7年の大智鍛造所社長・大智靖志さん(中央)は「実習生はとにかく人柄重視、協調性が大事です。社員旅行にも連れていきます」(撮影/楠本涼)

「受け入れてもらうと、幸せな気持ちになる」インドネシア人介護要員 メラ・ジュリアさん(右)指導役の高梨美紀さん(左)は「彼女たちは日本人以上に上下関係を大切にしますね。資格を取るという目的意識も強いので、職場のいい刺激になります」(撮影/写真部・関口達朗)

「受け入れてもらうと、幸せな気持ちになる」
インドネシア人介護要員 メラ・ジュリアさん(右)

指導役の高梨美紀さん(左)は「彼女たちは日本人以上に上下関係を大切にしますね。資格を取るという目的意識も強いので、職場のいい刺激になります」(撮影/写真部・関口達朗)

「勝田台フルヤ歯科」では3人の日系ブラジル人が働いている。院長の古谷さんと吉田ダニエレさん(右)(撮影/編集部・野嶋剛)

「勝田台フルヤ歯科」では3人の日系ブラジル人が働いている。院長の古谷さんと吉田ダニエレさん(右)(撮影/編集部・野嶋剛)

 一方、中国でも都市部で賃金が毎年10%近くも上昇し、日本との給与格差は縮まる一方。日本での実習のメリットは少ないとの評判が広がり、人材を探すのが年々困難になっている。
 そんななかで急激に増えているのがベトナム人だ。
 大阪市西淀川区の「新免鉄工所」は今年4月、ブイ・ヴァン・リンさん(23)とレイ・チャー・バオ・ユイさん(26)を受け入れた。新工場に本社から人を出し、その穴を埋めてもらう。
 同社にとっては初の外国人。社長の新免謙一さんは自らベトナムに足を運び、面接で選んだ2人の住居も探した。週末には神戸の中華街・南京町のベトナム料理店に連れていき、社の屋上では2人が好きな香味野菜を栽培するほどの気の使いようだ。
「礼儀正しいし、声も大きく、はきはきしていて、うちの若手にはないものを持っており、教わることも多い。(制限の)3年といわずもっといてほしい」
 2人も「日本の5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)など学ぶことばかり。最低でも5年はいたい」と口をそろえる。

●試験に落ちると帰国

 自民党は政府に対し、5年への延長を提言している。一方、実習制度自体には、職場の変更や柔軟な帰国ができないことから、国内外から「現代の奴隷制度」といった批判も絶えない。
「メラちゃ~ん、こっちに来てよ」「メラちゃん、元気?」
 千葉県袖ケ浦市の老健施設「カトレアンホーム」で働くインドネシア人のメラ・ジュリアさん(26)は入所者の人気者だ。
 南スマトラ出身。地元で看護師として救急病院で働いていたが、経済連携協定(EPA)の枠組みで11年に来日した。
「自分の発音が悪くて日本語が通じないと悔しい。でも、皆さんに受け入れてもらった感じがあると、幸せな気持ちになる」
 施設の近くに部屋を借りた。来年1月に控えた介護福祉士の国家資格試験のため、ベッドからの移動、入浴や食事の世話などの仕事をこなしながら、家に帰って勉強を続ける。
 インドネシアなどから、EPAの締結によって介護要員が招聘されている。メラさんのように、入所者や現場の評価は総じてかなり高い。ところが、日本人と同じ介護福祉士の国家資格の取得を義務づけているため、制度の有効活用ができているとは言いがたい。
 メラさんは、母国の学校や日本の研修センターで1年以上も勉強し、3年間の施設実習で国家試験に備えるが、試験に2度落ちると帰国させられる。困窮する介護現場の「助っ人」に来てくれる彼女らに、これほど負担をかける意味があるのか疑問だ。メラさんたちも30歳を過ぎれば結婚や帰国を考えるだろう。
 日本に外国人の労働者が本格的に現れたのは90年代以降。出入国管理法の改正で日系人の就労条件が緩和され、大型の工場がある地域が日系人であふれた。その半面、言葉や習慣の問題で生活や教育に支障を生む状況が広がった。

●母語だと安心できる

 医療もその一つ。千葉県佐倉市で、歯科医院を経営する古谷彰伸さん(50)は、7年ほど前に歯科助手を探していたとき、患者の日系ブラジル人女性の日本語がうまいことに驚き、「うちで働かない?」と声をかけた。口コミで「ポルトガル語が通じる歯科医院」との評判が広がり、関東一円から患者が訪れる。患者の2~3割は日系人だ。
 現在、医院で働く吉田ダニエレさん(29)は日系3世。近くの工場で働いていたが、古谷さんに医院でスカウトされた。
 診察室では普通にラテン系の言葉が飛び交う。ブラジル人だけではなく、ペルー、チリ、アルゼンチンなどの患者も多い。
「南米では歯科治療は保険適用がなく、治療費は固定額の前払い。患者さんには日本の保険制度との違いを説明します。母語でないとなかなかこういう話はできないので、安心してもらえるのでしょう」(ダニエレさん)

AERA  2014年7月14日号


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