ワーママや介護世代の労働者に、自由な働き方の選択肢を示す、との考えで、安倍政権が成長戦略第2弾に盛り込むのが「ホワイトカラー・エグゼンプション」(WE)。しかしそこには、賛否両論があるようだ。

 労働基準法は、従業員を働かせていい時間を「1日8時間、週40時間」と定め、これを超えた残業には割増賃金を支払う義務を企業に課している。WEはホワイトカラー(事務職)のうち一定条件の人を、労働時間の規制からエグゼンプション(除外)する制度で、給与は労働時間ではなく、成果で決まる。

 対象は一般社員で、時間管理されず、残業代のない管理職は対象外。ただ、その条件をめぐって産業競争力会議の議論は紛糾した。経営者が悪用すれば、「残業代ゼロで、成果を出すまで馬車馬のように働かされ、過労死を拡大させる」(連合)と、批判が噴出。結局、対象者は「年収が少なくとも1千万円以上」で、「職務の範囲が明確で高度な能力を有する労働者」に落ち着いた。為替ディーラーや製薬会社の研究職といった高度専門職が想定されている。

「仕事に誇りを持ち、裁量を与えてくれれば必ず結果を出す、と考えているスタープレーヤー志向の人向けの制度です」

 リクルートエグゼクティブエージェントの森本千賀子コンサルタントは、そう評する。アエラのアンケートでも、全体の回答はWEに「反対」が約56%を占めるが、すでに1千万円を超える年収をもらっている人だと「賛成」が約57 %と逆転する。

「ホワイトカラーは工場労働者のように時間で生産性が上がる仕事ではない。今まで導入されなかったことの方がおかしい」(技術職・40代男性)という声も寄せられた。

AERA  2014年6月30日号より抜粋