「受け身」の学歴より切り開く力経営共創基盤 ディレクター安井元康さん(35)1978年生まれ。明治学院大学卒業。勉強は、投入時間と密度の濃さが大事という。移動はダッシュ。隙間時間の活用で勉強時間を捻出した。近著に『非学歴エリート』(飛鳥新社) (撮影/高井正彦)
「受け身」の学歴より切り開く力
経営共創基盤 ディレクター
安井元康さん(35)

1978年生まれ。明治学院大学卒業。勉強は、投入時間と密度の濃さが大事という。移動はダッシュ。隙間時間の活用で勉強時間を捻出した。近著に『非学歴エリート』(飛鳥新社) (撮影/高井正彦)

 社会では有利に働くことが多い「学歴」。しかしそれをあえて自力で乗り越えた人もいる。

「学歴を超える力」を意識的に身につけたのは、経営共創基盤のディレクター、安井元康さん(35)だ。

「非学歴エリート」を自任する。母子家庭で育ち、経済的な事情もあって塾に行けず、大学はトップ校とはいえない明治学院大学に入学した。一流大学と比べれば就職には不利だと思い、戦略的に勉強した。

 大学時代は留学生寮に入り浸って使える英語を学び、TOEICは900点を取った。インターネットを通して、管理会計士などの米国の資格も取得。学歴が高いだけでは身につかない、「社会で使える」スキルを習得した。

 就職先もベンチャーを選び、大企業では経験できない「自分の急成長」を実感した。経理担当だったが、ポジションを超えて経営企画や営業にもかかわった。自ら社長にかけあい、「一人上場プロジェクト室」状態で、実際に2年で会社をマザーズに上場させた。

 将来のパスポートのための「学歴」ではなく、独学で身につけてきたスキルが世界で通用するのかどうかを確かめるために、28歳のときに自費で英国のケンブリッジ大学大学院に留学し、MBAも取得した。

 それらの経験をフルに動員して、現在は経営共創基盤のディレクターとして働く。出版社「ぴあ」の財務担当執行役員として、事業構造改革なども担当した。“高学歴”が当たり前のコンサルティング業界に、自らの力で乗り込んだと自覚している。

「グローバル化が進み、IT化で流れも速く、正解はわからない時代。受け身で答えを出すのが得意な“高学歴”よりも、サバイバル力や開拓力がモノを言うんじゃないでしょうか」

AERA 2014年6月16日号より抜粋