ITを活用すれば、PTAの仕事も少しは楽になるはず……と思いきや、そこには「デジタル格差」があることも。このくらいは常識だろうと思っていても、「落とし穴」が待っていることもある。

 東京都目黒区で雑貨店を経営する女性Cさん(42)は4年前、息子が小5のときにPTA役員をした。あるPTA主催の講演会が終わり、役員の女性に軽い気持ちでこうお願いした。

「内容をワードで打って会長に提出してくださいね」

「ワード」といえば、マイクロソフト社の文書作成ソフトだがその女性のパソコンにはワードが入っていなかった。ワード以外のソフトでもよかったのだが、締め切り直前になり、女性から「どうすればいいのか分からない」と打ち明けられた。

「定番ソフトが入っていないことも想定しておくべきでした。でも、そのソフトじゃなきゃダメだって思い込むこと自体が想定外」(Cさん)

 茨城県内に住む30代の専業主婦Dさんは昨年度、小2だった息子のクラスの委員をしていて、うんざりした。PTAでどんな催しをするかアンケートしたが、すべて手作業。ヨガ教室か、工場見学かを聞くだけなのに、集計には何日もかかった。

 数年前までIT関係の仕事をしていたDさんは、こうしたアンケートを集計するサイトがあることを知っている。しかし、「私にはPTAのデジタル化を推進する余裕はない」

 川崎市に住む自営業の女性Eさん(41)は数年前、小2だった娘の学校でPTAの役員をしていて、連絡にメールを使っていた。あるとき、知人に「こういうメールはBCCで送ってね」と注意された。そこでハッと気づいた。これまでPTA役員のメアドを、許可なく関係者全員にさらしていたのだ。「BCC」で送れば、相手に他の送信先のメアドが表示されない。ただ、Eさんは注意してくれた知人を恨んではいない。

「教えてくれる友人がいるから、いろいろトライしている。ITのスキルが高いほうが便利ですから」(Eさん)

AERA 2014年6月16日号より抜粋