「ブラック授業」?でも東大生が夢中になる理由

AERA#大学入試#東大
 日本の最高学府・東大には冗談で「ブラック授業」と言われる授業がある。しかし、それでも時間が短く感じるほど、学生は熱中してしまうという。

 東京都目黒区の東京大学駒場キャンパス。正門からほど近い一角に、一際目をひく近代的な建物がある。「21KOMCEE(理想の教育棟)」と名づけられたこの建物の5階で行われているのが、教養学部と博報堂が共に取り組む「ブランドデザインスタジオ」という授業だ。

 5月末のある日、午後7時半。ガラス張りの教室を訪ねると、授業中でもないのに学生たちが活発に議論をしていた。6、7人のグループが三つ。机の上の模造紙には、様々なキーワードが書かれた3色の付箋が貼られている。企業がよくやる「アイデア出し→分類」を実践しているのだ。自分たちで取材して集めた情報を、仕分けしているのだという。

「受験戦争を勝ち抜いてきた東大生は、正解のある問いを一人で解くのが得意な人たち。ですが、社会に出ると、リーダーシップやチームワークが求められる仕事が多くなります」 と話すのは、東京大学教養学部付属教養教育高度化機構の特任教授を務める宮澤正憲さんだ。博報堂ブランドデザイン代表で、この授業を運営する教授の一人。自らも東大OBだという宮澤さんは言う。

「東大生の苦手な『正解のない問いにみんなで挑む』というスキルを伸ばしたい。学生たちには、実際にある課題に取り組んでもらっています」

 例えば、「東京タワーのリブランディング」という課題にある班は、「東京タワーは山である」という答えを導いた。都心には高尾山のように落ちつける場所が少ない。だから東京タワーを山に見立てて、山頂(展望台)にたどり着くまでの山道、つまり周辺の見どころや東京タワー内部を整備しよう、と。「浅草で新しい劇場体験をつくる」というお題には、浅草には朝早くから観光客がいることに気づき、朝が楽しい街にするためのプランを立てた班もあった。

 授業は3カ月で完結。週に4時間程度だが、座学より学生たちがチームで考えたり議論したりする時間が長い。社会人の受講生も受け入れていて、各チームに1人は社会人が入るようにしている。取材当日のように、学生が自主的に集まって議論を深めることもしばしば。出会った学生たちは口々に言う。

「フェイスブックに先輩たちがブランドデザインスタジオは面白いと書いていたので、受講しました」
「授業時間が長く宿題も多いので、冗談で『ブラック授業』と言う人もいます(笑)。でも、ただ聞くだけじゃないので、授業は楽しくてあっという間に時間が経ちます」

AERA 2014年6月16日号より抜粋

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