年齢とともに衰えを感じる肉体。しかし効果的なトレーニングを行うことで、年齢に負けない体がつくれるようだ。今年40歳を迎えた記者が取材した。

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 体を鍛えることには自信がある。週1~2回のジョギング10キロを習慣にしているからだ。でも、一向にやせない。なぜ?ということで、筑波大学の久野譜也教授のところへ。久野教授は開口一番、

「走るだけで、引き締まった美しい体を手に入れるのは無理」

 加齢に伴い太りやすくやせにくくなるのは、筋肉が落ちてそこに脂肪がつくから。その状態を「サルコペニア肥満」という。30歳以上の女性の10人に1人がサルコペニア肥満。放置すると体力や生活機能が低下し、心筋梗塞、脳卒中などの危険も増す。

「解消には、脂肪燃焼と筋肉増量が必須。それには、有酸素運動、筋トレ、食事の3本柱でいかなくてはなりません」

 通勤やスーパーへの買い物も立派なウオーキング、つまり有酸素運動になる。目標は1日トータル30分。面倒な筋トレも、久野教授が挙げたのはたった三つ。いわゆるスクワットと、イスに座って片足ずつ足をまっすぐ伸ばす「膝伸ばし」、立ってかかとの上げ下ろしをする「かかと上げ」だ。

「筋肉は下半身から衰えます。下半身の筋肉を鍛えれば基礎代謝量も上がる。スクワットは膝がつま先より前に出ないように。あとの二つはフォームにとらわれすぎなくてOKです」

 大切なのは、どの筋トレもゆっくり3秒かけて行い、1秒静止してまた3秒かけて元に戻すこと。そして、続けることだ。

「10回×1~2セットを目標に。週3~4回で効果があります」

 食事は、筋肉の材料になる「肉」を意識して取る。野菜→肉→炭水化物の順に食べるとより太りにくいという。「お酒は飲んでいいですか?」と聞くと、「カロリーが高いことを自覚しましょう。最低でも1週間に1日は飲まない日を作って」

AERA  2014年6月9日号より抜粋