NTTドコモが打ち出したスマホ料金の定額制。ガラケーから乗り換えるべきか、ガラケー歴15年のアエラ記者がルポした。

 スマホでいくらかけても、どこにかけても月々2700円──そんな通話料金プランに、魅力を感じた人は多いのではないか。NTTドコモが6月1日から始めると発表した「カケホーダイ」のことだ。記者という仕事柄、電話をすることが多い。契約しているKDDI(au)に問い合わせると、毎月5時間ほど通話しているそうだ。

 いま使っているのは「ガラケー」。15年来のauユーザーで、いまの携帯は4年目だ。ずいぶんと古びてきた。思い切ってスマホに買い替えて、ドコモのカケホーダイにしよう! そう意気込んで、友人に相談してみた。すると、思いがけない返事が返ってきた。

「いまは待ちでしょ」

 どうして?さっそく取材を始めた。まずは、スマホに詳しいジャーナリストの石川温氏に聞いてみると、

「これまでの例から考えても、各社は近いうちに対抗プランを出さざるを得ない状況です」

 それならば、もう少し待ってみるか。

 でも、この定額制は本当に安いのだろうか。取材を進めると、スマホユーザーの懐疑的な声が聞こえてきた。

「さほど電話しないから興味はないです」と話すのは、都内在住の会社員(39)だ。10年来のドコモユーザーで、スマホは4台目。月々の通話料は概ね1千円以内。だから現行のプランで十分なのだという。もっとも、動画を見たり、「テザリング機能」を使ったりしているので、パケット通信は毎月、制限量のほぼ上限まで使っている。

 ただ、ドコモは今回、通話料金の定額制と一緒に、パケット通信料金の新プランを発表した。それによると、現行では5700円(ネット接続料を除く)の定額で7GBまで使えるが、新プランにすると、一人向けの場合、3500円で2GB、5千円で5GBに制限量の上限が引き下げられる。この制限を超えると、通信速度が極端に遅くなり、制限量を引き上げるには追加料金が必要だ。

 通信業界に詳しい投資家の山本一郎氏は、こう分析する。

「ドコモの新プランで6割ほどの契約者の通話料が安くなると言われています。ただ、コミュニケーションをLINEやメールで済ませ、動画閲覧やゲームでパケットを多く使う層にとっては、実質的な値上げに見えても仕方ありません」

AERA  2014年4月28日号より抜粋