リーマンショック以降、企業には部長や執行役員など中核となる人材を、外部から調達しようという流れが生まれつつある。

 経営陣の勅命を受け、人事部は新規プロジェクトの立ち上げや事業の海外展開など、重要案件を任せられる人材を絶えず探している。その時に「買い」が入る人材になっていなければ、ポストを外部から来た人に奪われ、昇進の芽も摘まれかねない。

 ヘッドハンティング会社の世界大手、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツの安田結子日本支社代表によれば、海外と日本のビジネスマンの行動様式を分析すると、日本人は「変化耐性」「リスク許容度」「自己顕示欲」の3項目が顕著に低いという。

「世界ではそれが日本人のカルチャーと認定されている。買いが入る人材になるには、進んで修羅場を経験する、ぐらいの気構えが必要です」(安田さん)

 実際、競争相手となる中国やインドなど、伸長著しい新興国のビジネスマンの上昇志向は半端ではない。経営コンサルタントで、自身も複数の企業の役員を務める小宮一慶さんは、「リーダーに“独裁”は必要」と説く。小宮さんが考えるリーダー要件は、ビジネスの方向づけ▽ヒト・モノ・カネの経営資源の最適配分▽人を動かす、の三つ。失敗や波風を恐れ、従業員や株主の顔色をうかがっているだけでは何も実行できない。意見は聞いたうえで、自分で決める。出る杭になることを恐れるな、という叱咤だ。

AERA  2014年4月14日号より抜粋