年功序列のレールに乗り、同期との出世争いに勝った生え抜き人材が上がりポストとして社長に就く──。こんなサラリーマン社長が多かった日本企業のトップ人事に変化が見られる。 住宅資材のLIXIL(リクシル)グループは米ゼネラル・エレクトリック(GE)上級副社長兼日本GE会長だった藤森義明氏を社長に抜擢。資生堂も日本コカ・コーラ元社長の魚谷雅彦氏を社長に招いた。創立9年目にして初の日本一に輝いた楽天球団を社長として率いたのは、ゴールドマン・サックスなど外資系証券マンだった立花陽三氏だ。

 いずれの企業も経営が大きく傾いたわけではなく、ブランド力も底堅い。だが、グローバル競争の激化など不透明な経営環境に直面する中で、過去の成功体験に縛られがちな生え抜き人材より、“しがらみ”のない外部人材に舵取りを任せたほうが社内改革が進み、成長スピードも速まると判断したわけだ。

 人材を外部から調達するという流れは、すべてのビジネスマンに無関係ではない。リクルートエグゼクティブエージェントのコンサルタント、森本千賀子さんは言う。

「リーマン・ショック以降、部長や執行役員など中核となる人材が欲しい、という企業からのオーダーが急増している。選抜教育などで幹部候補を計画的に養成せず、社内調和型の人事を続けてきたツケが、グローバル時代に入り顕在化しています」

AERA  2014年4月14日号より抜粋