「コンビニでエロ本を買うのは40~50代がメーン。不景気などで抑圧されたこの世代の人々が、自分たちの先輩や同級生という年齢の女性からの『癒やし』を求めた時代なのではないでしょうか」(米山さん)

 変化が訪れたのが、アベノミクスが台頭し始めた昨年。大洋図書が女子大生をメーンにした成人向け雑誌を出したところ、8割近く売れた。

「このジャンルにしては異例のヒットでした。そのほかにも素人ナンパものなど『男性上位』とみなせるようなジャンルの伸びが目立ってきています。大洋図書が多く出版している黒ギャルものも前年比2割増しくらいになりましたが、癒やし系とは違う流れだと思います」(米山さん)

 やはり成人向け図書を手掛ける「デジスタ」代表取締役の木島富士雄さんは、米山さんとはやや違う見方をする。

「景気によってジャンルの盛衰があるとはあまり思わない。人妻ものは景気が悪くても一定数必ず売れるため、不景気の時に棚を席巻したのではないか」

AERA  2014年4月7日号より抜粋