Twitter、Facebook、LINEなど、多様なSNSツールがあふれる現代。あえてそれを「捨てる」決断をした人がいる。編集者の米田智彦(41)が2013年9月から1カ月、「デジタルデトックス」を断行。デジタル漬けの生活を捨てた。

 デトックスにあたっては、まずオンラインにどれほど時間をかけていたか、スマホやパソコンの使用時間を記録。朝起きてから、夜ベッドの中でさえもスマホをいじる生活が明らかになった。まず睡眠時間を確保しようと、生活習慣を改めることにした。

 メールは仕事上どうしても必要なため、24時間態勢から1日2回の確認に制限。常時入れっぱなしのパソコンと携帯の電源も就寝2時間前に切ることにした。ネットでニュースをチェックすることもやめて、駅の売店で新聞を買って読んだり、空き時間を読書に使ったり。人に直接会いに行ったり、滝行や登山にもチャレンジしたりした。

「デトックス前は時間がもったいなくて小説の結末をウィキペディアで調べるほど。でも、読書は物語を追わないと何も心に響かず情報摂取で終わってしまう。時間経過こそが読書体験の醍醐味と改めて気づきました。デジタルは、使われるのではなく、私たちが使いたい時に使うものなんです」

AERA 2014年3月31日号より抜粋