東北が今「シリコンバレー」並み 日本をリードする事例も

 震災で大きな被害を受けた東北地方。しかしいま東北には、日本の将来課題に取り組む企業や団体が増えている。震災後、若者の流出などで、元々抱えていた過疎化や高齢化などの問題が一気に加速。しかし各領域の専門家が全国から集まったことで、課題解決の糸口も見えつつある。

「1キロ1900円じゃなくて3500円払うから、おいしい卵を作ってよ」

 宮城県名取市にあるレストラン併設商業施設「ロク ファーム アタラタ」のプロデューサー、島田昌幸さん(31)は、養鶏農家にこう発破をかけた。契約農家から仕入れたみずみずしい野菜や果物。厨房を経由すると、さらに彩り豊かなサラダやロールケーキに生まれ変わる。農産物の生産から加工、提供までのトータルコーディネートが武器。だがその分、責任は重い。

 通常、農家は農業協同組合と契約し、生産物すべてを納める。不作時の保障がある一方で、一部の食材をレストランなど外部事業者に納める場合は、農協との取引はできない。

 だから島田さんは、農家に「安くして」とはオーダーしたことはない。むしろ質を担保するためなら、余計にお金を払う。ある野菜農家を正社員として雇い入れ、生産に集中してもらったら、平均5~6度のトマトの糖度が13度まで上がった。その自然の魅力に惹かれたか、オープンから半年で、来場者は5万人を超えた。広報の菊島朋子さん(31)も、農業の魅力を伝えたくて東京から移住した。

 なぜ、過疎化する東北から、日本をリードする事例が生まれるのか。一般社団法人RCF復興支援チームの代表理事・藤沢烈さんは、「変化率の高さ」を挙げる。震災を機に東北にかかわった人が、ボランティアだけで100万人超もいること。企業の「社会的責任」が当然のものと認識されるようになったこと。企業が社会に提供するお金が、町づくりなどを担うNPOに流れ、有意義な活動に変わっていることを挙げる。

 さらに藤沢さんは、これが日本という先進国で起こったことに価値を見いだす。新興国では日常的に起こりうる「変化」も、政治や経済の仕組みが出来上がった先進国では起こりづらい。

「先進国でここまで変化率の高いエリアは、シリコンバレーか東北くらいだろう」(藤沢さん)

AERA  2014年3月17日号より抜粋

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