(撮影/写真部・関口達朗)
(撮影/写真部・関口達朗)

 この人を愛していたはずなのに、いつから本音をぶつけられなくなったのか。夫婦の関係性を変化させるのは、家事・育児・仕事・お金……。それぞれの夫婦が抱える愛と力の相関関係が、520人調査でわかってきた。

 アエラは世帯年収500万円以上、35~54歳の既婚男女520人に、夫婦の愛情について調査した。夫婦ともに家計を支えている「共働き」、夫が家計を支えているが妻も働いている「ちょこキャリ」、夫だけが家計を支えている「専業主婦」にそれぞれ夫への愛情を聞いたところ、「愛している」と答えた妻は共働きで81%、専業主婦74%、ちょこキャリ66%。出産後に仕事をセーブしたり、子育ての合間にパートに出たりと、家庭優先で働くちょこキャリ妻に「夫を愛せない妻」が多かった。

 日本女子大学の永井暁子准教授(家族社会学)は分析する。

「夫と同等に働く妻は夫から尊重してもらえて家事も分担できるが、妻がちょこキャリの場合は夫から尊重されず、家事や育児をしてほしいとも言いづらい。自分だけが夫をケアしていて、ケアされることがないので満足感が得られないのではないか」

 妻が望むケアとは、実際の家事の負担よりも「情緒的なサポート」のほう。夫が妻の働く意欲を尊重し、両立の大変さを理解するということだ。

 ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんは、妻が「小遣い稼ぎ」で働き始めることによる夫婦関係のリスクを指摘する。

「ちょこキャリの妻は自分の給料をブランド品や教育費、貯蓄など夫にわかりにくいことに使いがちで、夫は妻が働く意義を理解しづらい。わずかでも家計に入れるか、家電製品など家族の満足感を上げるものに使うことで、一緒に家庭を運営している意識をもつことが大切です」

AERA 2014年2月24日号より抜粋