操作は左右のスワイプで、フェイスブックのニュースフィードとニュースジャンルの間を行き来するため、ソーシャルメディアと、従来のニュースメディアの境目はなくなった。友達の近況も「ニュース」。上下のスワイプで、友達の近況やニュースの本文のページが開いたり閉じたりする(撮影/今村拓馬)
操作は左右のスワイプで、フェイスブックのニュースフィードとニュースジャンルの間を行き来するため、ソーシャルメディアと、従来のニュースメディアの境目はなくなった。友達の近況も「ニュース」。上下のスワイプで、友達の近況やニュースの本文のページが開いたり閉じたりする(撮影/今村拓馬)

 世界中の人が夢中になったソーシャルメディア最大手フェイスブックが10周年を迎えた。新たに発表した新サービスで今度は、メディア界に参入する。

 ニュースはもはや紙の新聞や雑誌のように「めくる」ものではなく、「スワイプ(指を滑らせる)」して読むものになった。「ペーパー」を使うと、こう痛感する。

 ペーパーはフェイスブックが2月3日、北米市場でiPhone向けに公開。従来のフェイスブックのアプリとは、全く異なる斬新なデザイン・操作性と、スマートフォン上で動く「自分専用の新聞」とでもいえる、メディアとしては全く新たな発想で話題になった。フェイスブックで友達の近況を知る「ニュースフィード」に加え、自分が興味のあるニュースだけを集めた「ニュース自分版」だ。

 従来のニュースアプリのように「政治」「経済」「スポーツ」といった押しつけのジャンルボタンはもはやない。トランプのように左右にぱらっと開くジャンルの札から自分が興味のあるものを選び、指でするっとスワイプすると、自分専用のボタンがアプリに次々に作成される。

 ちなみに、筆者が選んだジャンルは、「テクノロジー」「ヘッドライン」「企業」「クリエーター」「ビジュアル」「アイデア」「平等・多様性」「地球」「かわいい写真」──これまでのニュースジャンルとはまったく異なる。このジャンルの中に従来の新聞・雑誌、ブログから集めたニュースが網羅されている。

 公開してわずか2日後の5日、アプリストアでは利用者評価で、五つ星のうち四つ半の星を獲得。ハイテクニュース専門サイトCNETのエグゼクティブ・エディター、ロジャー・チェン氏は、こう指摘する。

「驚くほど印象的なアプリ。ただのニュースアプリではなく、情報をシェアし、印象的に見せることが簡単にできて、しかも直感的に操作できる点で抜きん出ている」

 一方で、テッククランチのジャーナリスト、ジョシュ・コンスタイン氏は、こう危惧する。

「利用者の方が、このアプリの革新性が分かるほど、進歩しているだろうか」

※AERA 2014年2月10日号より抜粋