教室にもロボット 生徒は自宅で操作病気で通学できない生徒は自宅でパソコンを開いてロボットを操縦。ロボットが校内を回ることで、授業を受けたり、仲間の様子をカメラを通して知ったりできる(写真:VGo提供)
教室にもロボット 生徒は自宅で操作
病気で通学できない生徒は自宅でパソコンを開いてロボットを操縦。ロボットが校内を回ることで、授業を受けたり、仲間の様子をカメラを通して知ったりできる(写真:VGo提供)

 ここ数年で、アメリカのロボット研究がかなり実用的なところまで来ている。

 サービス用ロボットでは、多種の製品が実用化されている。植毛手術を自動的に行うロボット、農場などで鉢植えを一列に並べるロボット、太陽の動きに合わせてソーラーパネルの方向を変えるロボットなど、さまざまな業界でロボットが活躍中だ。

 学校でも、免疫機能障害などで登校できない子どもが、「テレプレゼンス(遠隔存在感)・ロボット」で通学するケースも出てきた。ヴィーゴ社は、そのために自社製品100台を全米の学校に納めたという。テレプレゼンスで通学することで、廊下を歩き回り、仲間を感じられるのが何よりの利点だ。デジタル・ネイティブの子どもたちは、ロボットの操縦にもすぐ慣れる。ロボットと一緒に勉強することにも抵抗がないばかりか、ロボット通学生が学校の人気者になる例もあるという。ロボットは学校が買うこともあれば、病気の子どもの親が自前で入手することもある。

 ロボットをこれまで導入してきた製造業の現場にも、新しいタイプのロボットが入り込んでいる。工場作業員と並んで一緒に作業する「コー・ロボット(人と共存するロボット)」と呼ばれるものだ。

 これまでの産業ロボットは、自動車工場での溶接や塗装の作業を行うなど、サイズも大きく危険なため、安全柵の中に設置されてきた。一方、コー・ロボットはサイズも小さく、動きも優しい。万が一、アームが人に当たってもすぐに止まる仕組みで、危害を及ぼすことはない。既存の環境にそのまま設置できるため、とくに中小企業の製造工場が注目している。

AERA  2014年2月3日号より抜粋