パソコンを撤去後の半年で、営業訪問件数は40件から250件へと6倍以上になり、契約件数も大幅に増え、売り上げの見込みも3倍以上になるなど成果はすぐに出た。

 先進的な取り組みをする企業は他にもある。

 LED照明や収納ケースなどの人気商品で知られるアイリスオーヤマだ。職場の机からパソコンを取り上げ、フロア中央の「島」に集約したのだ。「デスクは頭で考える仕事をする場、パソコン島はデスクでまとめた内容をアウトプットする作業の場」と切り離した。

 デスクにパソコンがあるのは当たり前だった。だが、社内の研修会である講師が「パソコン使用中には脳があまり働かない」との話を幹部社員にした。このことを契機に、07年に試験的に導入し、09年には全社で切り替えが完了した。

 商品企画部では、パソコンとうまく付き合うことで、さっそく効果が出た。ネット上に出回る情報をヒントに企画を立ててしまうと、競合他社と差別化できない。そこで、頭で考えたところ――。

 今では、売り上げに占める新商品(発売3年以内の商品)の割合は、08年の41%から、13年は56%になり、ヒットする新商品が増えた。

AERA  2014年2月3日号より抜粋