電車へのベビーカーでの乗車や、飛行機に乳幼児を連れての搭乗など、子どもと乗り物にまつわる論争が相次いでいる。実際、子どもに携わる現場では「子ども排除」とも言える動きもみられる。

 病児保育を手掛けるNPO法人「フローレンス」代表の駒崎弘樹さんが運営にかかわる保育所には、「子どもの声がうるさい」という苦情が年々増えている。一方ドイツでは2011年、子どもの声は騒音としてみなさないという法律が可決された。

子育て中の人はいわばマイノリティーで、今後さらにその傾向は強まる。だからこそ、もっと声を上げていかないといけない。子どもの声をうるさいと排除するのか、それも含めた社会を許容するのか。問われているのは私たちがどういう『公共』を求めているかなのです」

「子ども排除」の動きはあちこちで起こっている。東京都目黒区の会社員女性(36)は区の「青少年プラザ」で子連れでの会合のため和室を予約する際、「子どもが騒ぐと困るので2室予約してください」と指示された。女性は、「青少年の名前を冠しているのに事実上子連れ利用を締め出すような行為」と憤る。目黒区は、「全ての利用者の皆様に気持ちよくご利用いただくためにご提案することもある」と説明するが、子連れ利用者にとって障壁となることは間違いない。

 都内在住の主婦(48)は数年前、ベビーカーを押しながらJR線の下りエレベーターに乗り込もうとした時に、前を歩いていた年配男性からステッキで邪魔をされた。狭いスペースに場所をとるベビーカーを持ち込んだことや男性を追い越そうとしたのが気に障ったようだ。

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