「倫理的な問題をはらむ検査が歯止めなく広がるのは問題だ。同時に、がんのリスクなどは確定的なものではなく、環境の影響も大きいといった、遺伝の正しい理解も必要です」

 さらに、昨年5月には、コナー・リーヴィーちゃんが、次世代シークエンサー(人の塩基配列を読み取る装置)を利用した体外受精で生まれた。受精から数日後に胚から細胞を取り出し、正しい数の染色体が存在していることを確認してから、その受精卵をおなかに戻した。応用すれば、遺伝性疾患の可能性がないかを網羅的に検査して「ふるい分ける」ことも可能だといわれる。

「やろうと思えば、生まれたての赤ちゃんの唾液からDNAを抽出して次世代シークエンサーにかけ、将来罹患する可能性のある疾患の確率をリストにして出すことも、技術的には不可能ではないところまで来ているんです。社会が何をどこまで認め、何は禁止するのか、すぐにでも議論すべきだと思います」(高田教授)

AERA 2014年1月20日号より抜粋