科学技術の進歩で、人のゲノム(全遺伝情報)も読むことができるようになった現在。遺伝子検査と生殖技術を組み合わせることで、自分の望んだ通りの赤ちゃんを生むことができるようになるかもしれない。

 親が望む特徴をもつ赤ちゃんを遺伝子操作で作る「デザイナーベビー」はSFの話。だが、米国の「23andMe」社の遺伝子検査と体外受精技術とを組み合わせて、望ましい特徴を持つ子どもを選んで誕生させうる技術に、昨年9月、米国で特許が与えられ、その世界に一歩足を踏み入れた。

 体外受精を試みる人と、バンクなどに保存されている精子や卵子の提供者と、双方の遺伝情報をかけ合わせて解析。「大腸がんリスクが低い」「身長が高い」など、望む子どもの特徴を示せば、それがどの程度表れそうかの“確率”が算出されて提供者を絞れる。

 同社は、「実際にそうした使い方をするつもりはない」と防戦。だが、FDAの勧告が歯止めにはなっているものの、現時点で法規制はない。高田史男・北里大学臨床遺伝医学教授は、こう指摘する。

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