少子化問題は、女性だけの問題ではないと訴える野田聖子氏。現在は男性も少子化を国全体の課題として捉えるようになったと野田氏は話すが、それは以前からすると大きな変化と言えるようだ。

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2012年の合計特殊出生率は1.41と16年ぶりに1.4台に回復しました。しかし、出生数は減り続けたまま。深刻な状況は続いています。ここにきてやっと、日本のオジサンたちも、少子化は女性だけの話じゃない、経済問題であり、国全体の課題だと認識してくれるようになりました。老後の年金が心配なら、支えてくれる人材を増やすしかない。少子化が改善されない限り、どんな経済対策をとろうが日本は滅びる、と。社会の大きな変化を感じますね。
 
16年前、私が初めて閣僚会議で少子化対策の必要性を訴えた時は、「まず、あなたが産んだらいい」なんて言う男性がいました。自民党も本音は「学歴のある女性が家庭より仕事を選んだ結果、子どもにも職場にも子どもがいることがふつうになれば、みんなが生きやすい国になる。

家族のあり方も同じ。今までは、お父さん、お母さんがいて子どもも2人くらいいるのが「ふつう」だった。これからは、母一人子一人でも、父一人子一人でも、社会から色メガネで見られることなく生きていけるようにしないと。

 先日、最高裁が、性同一性障害で性別を女性から変更した男性について、妻が第三者からの精子提供を受けて産んだ子どもの父と認めました。判決を受けて、自民党でも法整備に向けて検討を始めましたが、これは国会議員にとって屈辱的なことです。裁判で認められたから法改正を、なんて怠慢が過ぎる。その自民党がこれほど変わったんだから、少子化も絶対に解消できると思っています。

 少子化の背景には、政府の失策もあると思います。少子化対策とは子育て支援だけだと考えていたんです。もちろん、子育て支援は大切だけど、産みたいと思っている人が産める環境にすることも大切です。そのためには社会がドラスチックに変わらなければ。私は、少子化担当相こそ、大きなかじ取りが必要なのだから、石破茂幹事長のような実力のあるコワモテの男性がやったらいいと思います(笑)。

AERA 2014年1月13日号秋元康特別編集長号より抜粋