★(星)の数は抗酸化力とおいしさを表す。どちらも北海道産のミニトマトだが、右側は明らかに味が濃く、うまみも強い。同様に、ゴボウも★の多いものほど風味が豊かで、味がハッキリしている(撮影/今村拓馬)
★(星)の数は抗酸化力とおいしさを表す。どちらも北海道産のミニトマトだが、右側は明らかに味が濃く、うまみも強い。同様に、ゴボウも★の多いものほど風味が豊かで、味がハッキリしている(撮影/今村拓馬)
「ベジマルシェ」では定期的に勉強会を開き、野菜の機能性を引き出す調理法を伝えている。生のネギに対し、焼いたネギは2.5倍、レンジ加熱は1.5倍の抗酸化力があるという(撮影/今村拓馬)
「ベジマルシェ」では定期的に勉強会を開き、野菜の機能性を引き出す調理法を伝えている。生のネギに対し、焼いたネギは2.5倍、レンジ加熱は1.5倍の抗酸化力があるという(撮影/今村拓馬)

 厚生労働省が目標とする成人の野菜摂取量は一日あたり350グラムだが、全世代で下回る。「質で補おう」と、機能性野菜が注目されている。

 見た目は何の変哲もないブロッコリー。しかし、人の体に備わる解毒力や抗酸化力を高めるといわれる成分「スルフォラファン」が通常の約2.5~3倍というから驚く。スルフォラファンは、胃がんなどの原因になるピロリ菌を抑制したり、肝機能を改善したりする効果が期待されている。

 大手青果のドールは「ウルトラベジ」と銘打って、通常の野菜より特定の栄養価が高い「機能性野菜」のシリーズ展開を始めた。機能性ブロッコリーは、通常より100円ほど高いが「店舗によっては完売するほど反響があり、特に東京の六本木や二子玉川などは販売数が多い」と同社広報担当者は話す。来春には機能性トマトの発売を目指す。

 ほかにも大手食品総合メーカーのカゴメは、抗酸化物質「リコピン」が1.5倍(同社ラウンドトマト比)の「KAGOME高リコピントマト」を販売。大手種苗メーカーのタキイ種苗は、ビタミンCが通常の約1.5倍、カロテンが約2倍の「こどもピーマンピー太郎」など12品種を「ファイトリッチ」の名前で展開している。

 こうした機能性野菜は、いわゆる遺伝子組み換えではなく、優れた種子の交配などによって開発されている。

 いずれも割高だが、考え方を変えれば効率的かもしれない。大手青果卸のデリカフーズ社長の丹羽真清さんは、野菜の成分分析研究を10年以上続けてきた実績からこう話す。

「私たちの研究によると、抗酸化力の高い野菜270グラムは、通常の野菜の350グラムに匹敵します。野菜は、『舌で食べる』から『頭で食べる』時代になってきたと言えるでしょう」

AERA 2013年12月30日-2014年1月6日号より抜粋