BNPパリバ証券日本株チーフストラテジストの丸山俊氏は特に成長戦略を気にかけている。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、辛口だ。「アベノミクスの評価は30点。短期的にはうまくいっているように見えますが、期待先行で金融政策に頼り過ぎです」(撮影/高井正彦)
BNPパリバ証券日本株チーフストラテジストの丸山俊氏は特に成長戦略を気にかけている。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、辛口だ。「アベノミクスの評価は30点。短期的にはうまくいっているように見えますが、期待先行で金融政策に頼り過ぎです」(撮影/高井正彦)

 アベノミクスの影響で株価は上昇、景気は上向いた。この流れを、いざなぎ景気以来の「ゴールデン・サイクル」だと専門家は指摘する。

 景気には規則的な波がある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の景気循環研究所所長、嶋中雄二氏によると、明治時代の1885年以降、過去5回しか発生していない「ゴールデン・サイクル」が、まさに今、到来しているのだという。

 ゴールデン・サイクルとは、短期、中期、長期、超長期の四つの景気循環の波が、同時に上昇に転じている局面をいうそうだ。過去に起きたのは、日露戦争があった1904~05年、第1次大戦中の1916年、神武景気時の1957年、岩戸景気時の1960~61年、いざなぎ景気時の1967年。今回がもしそうだとしたら、46年ぶりの発生だ。

 さらに、嶋中氏は今後10年間で、ゴールデン・サイクルがあと2回、発生する可能性があると見ている。

「2023年頃まで断続的に出現します。景気の波に加えて政策も良い。安倍晋三首相が打ち出した大胆な金融緩和、積極的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢とともに、東京五輪という4本目の矢もあります。実需が出やすい時期ですし、20年に開催が決まった東京五輪までの7年間で29.3兆円の経済波及効果があると見ています。14年の日経平均株価は1万9000円を目指し、東京五輪に向かって、3万円台まで上がるでしょう」

 ちなみに、日経平均の史上最高値はバブル期の89年12月29日につけた3万8915円87銭だが、80年代後半には、ゴールデン・サイクルは起きていないそうだ。大型のバブルはむしろ超長期循環の波の下落時に起きる傾向があるという。ただ、嶋中説では、今回の景気上昇はバブルなんかではなく、本格的な好景気なのだ。

AERA  2013年12月30日-2014年1月6日号より抜粋