スプツニ子!1985年生まれ。リケジョ(理系女子)の現代アーティスト。東京都現代美術館で開催中の「うさぎスマッシュ展」では、女の子が月面にハイヒールの足跡を残すことをテーマにした作品を出展している(撮影/写真部・東川哲也)
スプツニ子!
1985年生まれ。リケジョ(理系女子)の現代アーティスト。東京都現代美術館で開催中の「うさぎスマッシュ展」では、女の子が月面にハイヒールの足跡を残すことをテーマにした作品を出展している(撮影/写真部・東川哲也)

 東京五輪は来日する外国人に日本をアピールする絶好のチャンスだ。現代アーティストのスプツニ子!さんは、開会式のアートディレクターをぜひやりたいと話し、ユニークな案を提案する。

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 東京五輪開催と聞いて、「開会式のアートディレクターは私がやります!」と、すぐにツイッターでつぶやきました。

 成熟した都市である東京が五輪をやる意味は、「日本はこんなにスゴい」「日本の伝統はこんなに素晴らしい」と自慢げに発信することではないと思う。東京で五輪を開くということは、これからの日本はオープンで、いろんな人や価値観を受け入れられるという、懐の深い、新しい姿を世界に示すチャンス。その一つの象徴として、五輪のアートディレクションやプロデュースなど表現の核が、権威あるオジサンじゃなくて若い女性になってもいいんじゃないですかね。それ自体がメッセージになると思います。

 海外から見ていると、日本文化の素晴らしさの一つがクオリティーの高いユーモア。五輪でも、日本文化に確信犯的にユーモアを採り入れて表現したほうがカッコイイと思う。

 例えば、大会の会場にいるセキュリティーガードがみんなNINJA(忍者)で、手裏剣形のセキュリティーパスを着けているとか、開会式では、ゴジラとガンダムが対戦して、そのガンダムの操縦席から首相が登場するとか。ユーモアを入れた演出を仕込んでおくと、面白いと思います。

 北京五輪もそうでしたが、アジア圏で開催されるオリンピックは真面目で優等生になりやすい。国の威信を見せようと力が入りすぎる。東京はせっかく2度目だし、もっと力を抜いて、余裕のあるところを見せたほうがいいと思う。

AERA  2013年11月11日号より抜粋