韓国では今、日本原作のドラマがブームとなっている。毎年1、2本のリメイク作が生まれていたが、昨年は「同窓会~ラブ・アゲイン症候群」「プロポーズ大作戦」など少なくとも8作品。今年は「愛なんていらねえよ、夏」「ハケンの品格」「女王の教室」などがリメイクされ、年末までには5作品以上になると予想されるなど、急増している。

 現在韓国ではケーブルテレビで日本のドラマがオンエアされているものの、地上波は「国民感情を配慮して放送を自粛している」(韓国メディア関係者)。よって、リメイクが日本原作のドラマ初体験となる人も多い。ソウル在住の中学校教諭ミョンさん(40代・女性)は、「女王の教室」に夢中になった。

教育現場のシリアスな問題をマンガ風の演出で描いていたのが新鮮でした。いじめが日本のあとを追うように韓国でも問題になったのと同様に、日本のドラマの内容は韓国でも数年後に起こりうることだと思います」

 韓国は、なぜ日本の原作のリメイクに乗り出したのか。韓国コンテンツ振興院日本事務所のキム・ヨンドク所長が第一に挙げるのは、韓国における脚本家のギャラの高騰だ。背景には、11年12月、大手新聞4社がケーブルテレビで総合編成チャンネル(報道のみならずドラマや教養番組を制作・放送)を開局したことがあるという。

「年間制作数約70作品だったドラマが、チャンネル増により100作品に急増しました。シナリオの確保が逼迫した結果、A級といわれる脚本家のギャラが跳ね上がり、1話あたりの原稿料は約1億ウォン(約920万円)に上るとも伝えられています。そんな中、新進気鋭の脚本家がリメイクを手掛ければギャラを抑えることができる。さらに、日本の原作の知名度にあやかり、投資やキャスティングを有利に運べるのです」

AERA 2013年11月4日号より抜粋