住む場所を選ぶ際に、重視しがちなのは都心へのアクセスや街の雰囲気。しかし重要な要素のひとつが、災害が起きた時に住民の安全や暮らしを守る力があるのかということ。そこでアエラではそうした観点から、現在人気が高い街に注目してみた。

 災害に対する強さの評価基準の一つとしたのが、東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」だ。震度5強から7程度の地震を想定し、建物の倒壊や火災延焼による被害を都が独自に試算。測定した5133地区を倒壊、火災の危険度の高さでランク付けし、総合危険度を割り出している。

 たとえば中野駅(東京都中野区)周辺。以前からこの地域は災害時に大きな被害が出るとされ、今回の危険度も高い。それでも、地価が大幅に下がることもなく、住みたい街のままなのだ。

 中野区は、日本でも有数の人口密度の高い自治体だ。しかし木造密集地域が少なくなく、災害が起これば被害は拡大するとみられている。三軒茶屋(東京都世田谷区)も、そうだ。 防災学者で神戸大学名誉教授の室崎益輝さんは話す。

「木密(木造密集)地域だろうが、鉄筋のマンション群だろうが、大変な災害が起きたときは一緒だろうという意識が蔓延しているのです」

AERA 2013年10月28日号より抜粋