黒のミニスカートに水玉模様といった服装に、シャネル、クリスチャン・ディオールなど有名ブランドのバッグやネックレス。北朝鮮で規格はずれのド派手ファッションは最高指導者、金正恩(キムジョンウン)第1書記(30)の妻、李雪主(リソルジュ)(24)のトレードマークになってきた。

 そんな彼女に「異変」が起きたのは10月9日。平壌(ピョンヤン)の金日成(キムイルソン)総合大学で教える教員住宅の竣工式に正恩氏と訪れた彼女は薄い青一色の地味な服装で装身具やバッグもなし。髪も短くカット。10日、15日もフォーマルな服装で登場、「李雪主ファッション」は跡形もなく消えていたのである。

 彼女に何が起きたのか?「あの事件の影響だろう」で、多くの北朝鮮関係筋の見方は一致する。

「あの事件」とは、北を代表する音楽団「銀河水(ウナス)管弦楽団」と「旺載山(ワンジェサン)芸術団」の団員ら約10人がポルノ映像を作成し、8月半ばに摘発、公開銃殺されたという件のこと。正恩氏の妻になる前、李氏は「銀河水」の若手歌手だった。

「ポルノ事件」と彼女の関係が表面化したのは「調査を受けた団員らが『李雪主も昔は自分たちと同じように遊んでいた』と話していたのがわかり、隠蔽のため関係者が処刑された」と9月21日に朝日新聞が独自報道してからだ。韓国マスコミが後追いで伝えるや、

「最高尊厳(正恩氏)を冒瀆するものだ。絶対に許さない」

 と北朝鮮は22日、激しく反発。10月6日には韓国の反北団体が、裸の李氏が男性と抱き合う合成写真に、

「李雪主奥様が全裸でみだらな映像を撮り、外貨稼ぎしたんですって?」

 などと書いたビラ50万枚を風船で北朝鮮に飛ばした。騒ぎを鎮めようとしてか9日、李氏が地味目に登場。同日、北朝鮮メディアは「事件など起きていない」といわんばかりに、2カ月間活動が伝えられてこなかった「銀河水」の音楽を流した。

AERA 2013年11月4日号より抜粋