この夏、猛暑を快適に過ごした人たちがいる。外断熱マンションで暮らす人々だ。冷暖房の効果を高めてくれる外断熱だが、実は家の資産価値の向上にもつながる。

 外断熱に改修して、快適生活を手にした人がいる。ホームタウン南大沢(東京都八王子市、10棟146世帯)の管理組合住環境委員長を務める横山美樹雄さんは、「改修前、北向きの部屋は冬に暖房をしても寒くて、布団の中でもオーバーを着なければ眠れないほどでした。今は、ほとんど暖房器具を使わなくても暖かい」という。

 改修工事は2009年9月に始まり翌10年1月に完了した。

「改修は、下から順々に断熱材が張られていきましたが、12月中旬、自宅のある4階まで工事が進んだときでした。朝は『寒いなあ』と玄関を出ました。夜帰宅したら『暖房が強過ぎる』と思った」(横山委員長)

 昨年末に外断熱改修を終えた藤和ライブタウン希望ヶ丘(横浜市旭区、5棟90世帯)。管理組合の修繕委員、竹下輝さんも昨冬、暖かさを実感した。

「暖房器具を使わなくても室内は例年以上に暖かかった。以前は石油ファンヒーターを使い、灯油をひと冬に20リットルタンクで8回ほど買っていましたが、灯油代は浮きました」

 住宅ローンの終わる築35年を過ぎた頃から、建て替え問題が頭をもたげてくるが、「外断熱なら100年以上建て替えの必要はない」とされ、その耐久性が資産価値の向上につながっている。理由は、断熱材で覆われて外気に触れないコンクリートが、昼夜、夏冬の温度変化で伸び縮みしにくいためだ。コンクリートが伸び縮みするとヒビが入りやすくなり、そこから雨水などがしみ込み、中にある鉄筋をサビつかせる。コンクリートは、アルカリ性なので鉄筋をサビから守っているが、外気に触れる状態だと中性化して鉄筋周辺が湿潤になりサビが発生しやすくなる。

AERA 2013年10月21日号