小暮真久さん(41)NPO法人「TABLE FOR TWO International」代表マッキンゼーを経て、開発途上国への食糧支援を手掛けるNPOを立ち上げた(TABLE FOR TWO International提供)
小暮真久さん(41)
NPO法人「TABLE FOR TWO International」代表

マッキンゼーを経て、開発途上国への食糧支援を手掛けるNPOを立ち上げた(TABLE FOR TWO International提供)

 会話を円滑にしたり、場の空気をなごませる効果のある、日常会話での「ツッコミ」。一方で、もっと踏み込んだツッコミは、時に相手の本質に迫ることができる。

「いいアイデアは、理屈に合ってない。誰もが賛成するようなアイデアに成功はない」

『すごい会議』の著者で会議術のコーチングを行っている大橋禅太郎さんは、そう語る。そんなアイデアを引き出すためには、根拠のないツッコミが必要だ。例えば相談ごとを受けた場合、「何が問題ですか?」

 ひととおり理由を聞いてから、「今、言えなかったことは?」

 さらに「ひどい真実は何?」と畳み掛ける。

 赤字が続く企業のコンサルティングに入ったとき、当初商品の魅力のなさなどを理由にあげた役員が、「ひどい真実は」という畳み掛けに「うちはあと5年間いまの赤字を出しても倒れないんです」と答えた。あと数年でやめる役員に危機感がなかったことが問題の本質だった。

「一見無責任に見えるように言い放つことがコツです。自分が責任を持とうとすると、相手からアイデアを引き出せない」

 外資系コンサルタント企業マッキンゼーに勤め、今はNPO法人「テーブル・フォー・ツー・インターナショナル」(TFT)代表の小暮真久さん(41)もマッキンゼー時代、業績の上がらない海外法人事務所での聞き取りで埒が明かず「結局、何が不満なの?」とツッコんだ。とたんに「日本本社との待遇の差が我慢できない」と不満噴出。コンサルティングの軸を待遇改善に切り替えて成果を上げた。

AERA  2013年9月30日号