「防災ゴルゴ」こと福岡市在住の多々羅光男さん(74)。市消防局時代に救急から消防まで各分野で経験を積み、1996年の福岡空港でのガルーダ・インドネシア航空機離陸失敗事故の現場指揮にあたった。現在は全国の消防団員や各県の防災担当者の指導のため飛び回る。

 地震や津波に対して、日頃どう備えているのか。多々羅さんの答えは、

「衣服のポケットに常にハンカチとアメ玉を入れています」

 ハンカチは火災時に天井や壁紙から出る石油系有毒ガスを吸わないため。アメ玉は建物内に取り残された場合の非常食だという。「1個で3時間はもちますよ」

 でもそれだけ? 地震や津波への備えとして多少の物足りなさを伝えると、多々羅さんは、「どこで地震に遭っても高い確率で火災は起きる。まずは簡単なことから実践する。その積み重ねが命を守ります」

 では具体的な状況下での行動を学ぼう。地震発生時の居場所がオフィスだった場合、揺れ始めたら、すぐにオフィスのドアを開けた状態にする。閉めたままで揺れるとドアがきしみ、開かなくなることがある。地震後はすぐに火災に備え、ハンカチを口にあて、体を低くする。

 火災が発生した場合、災害後のパニックで立ったままでいると、無色で1メートル以上の高さを漂う有毒ガスを吸う危険性がある。

「可能であれば水に浸したハンカチを左手で持ち、口にあて、体をかがめ、右手で壁をつたいながら避難してください」

 避難する際はエレベーターの利用は要注意だ。一般のエレベーターは停電時に止まる可能性があり、熱も煙も防げないので危険だ。ただし、高さ31メートル(11階)以上の高さの建物に設置が義務付けられている「非常用エレベーター」であれば外部の熱や煙に強い構造で停電時も非常用電源で動くため避難シェルターになる。平時に身近にあるエレベーターのタイプを確認しておこう。

 発生時の居場所が商業施設だった場合、広いフロアは、揺れによるきしみや重さで天井が崩れる可能性がある。できるだけ狭くて構造が頑丈なトイレなどに逃げ込むのが良いという。

AERA  2013年10月7日号