絶賛された淳の結婚相手とは、家事手伝いの西村香那さん(29)。元モデルで、淳とは5年前に交際して一度は別れ、1年前に復縁したという。9月17日に放送された「ロンドンハーツ」スペシャルは、香那さんがいかに献身的で従順な女性であるかを伝えた。淳への不満は「まったくないです」。淳の帰りが遅くても、メールも送らず起きて待っている。別れた後、淳の両親には感謝の手紙を送ったという。淳は結婚会見でこう言った。

「浮気されたら私も一緒に反省します、と話したのを聞いて、こんなデキた嫁はいないと思いました」

 冒頭の飲み会で、男性陣が最も同調したのもこのセリフ。秘書の女性は反論したが一蹴された。

「わかってないな。だからオマエは結婚できないんだよ」

 婚活歴5年以上。家事が苦手で、男性にロールキャベツを振る舞う前には5回練習した。

「20代は嫁力アピールに必死だったけど、頑張りすぎて疲れたから、最近は見せかけだけ。香那さんのような女性を理想に掲げられると、婚活のハードルが高くなって困るんですよね」

 このところ「デキた嫁」の市場価値が急騰している。いわゆる「内助の功」や「良妻賢母」がもてはやされているのだ。

 有名人の妻22人を集めた番組が24日に放送され、福岡ソフトバンクホークスを退団した斉藤和巳を支え続けたスザンヌが「アゲ妻」のグランプリを獲得。同じ「おバカタレント」だった里田まいは、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大と結婚後、アスリート専門のフードマイスターの資格を取得。楽天を初優勝に導いたマー君の活躍の源は手料理だと話題になった。

 きわめつきは、大ヒットしたドラマ「半沢直樹」の主人公の妻の半沢花。原作では広告代理店で働く設定だが、ドラマでは専業主婦を上戸彩が演じた。女性ウケは度外視し、「男が『この奥さん、わかっているな』と思うようなキャラクターにした」(福澤克雄監督)のだという。夫にハッパをかけ、奥様会で情報収集する健気さが共感を呼び、『半沢直樹の妻力』という本も出た。半沢を演じる堺雅人の妻、菅野美穂も「仕事をセーブして朝食を作っている」「私服をコーディネートして夫を改造」などと称賛されている。

 武蔵大学教授の千田有紀さん(家族社会学)は、最近の「良妻ブーム」は、昔ながらの性別役割分業への回帰とは異なる現象だと指摘する。

「昭和の頃はそこそこの稼ぎのサラリーマンでも何とか体面を保つ生活ができたが、終身雇用制度が崩壊した今、妻が働かずに済む家庭は裕福な特権階級となった。専業主婦になれることの相対的な価値が高まり、そこで選ばれる女性は優れていなければならない、という新たな規範が生まれています」