ポール・ウォルシュさん1968年、英国出身。広島経済大学助教。外国人観光客向けに04年から地図「GetHiroshimaMap」を制作。「広島県民と触れ合うためのツールとして使ってほしい」(撮影/写真部・時津剛)
ポール・ウォルシュさん
1968年、英国出身。広島経済大学助教。外国人観光客向けに04年から地図「GetHiroshimaMap」を制作。「広島県民と触れ合うためのツールとして使ってほしい」(撮影/写真部・時津剛)

 実は今、広島が外国人旅行客の間でブームになっている。

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「ヨーロッパ人に日本で知っている都市を二つ挙げなさい、と言ったら、東京と広島と答える人は多いと思いますよ」

 そう話すのは、今回、広島を外国人目線で教えてくれた、広島経済大学助教のポール・ウォルシュさん(45)だ。イギリス出身だが、在住外国人のためのウェブサイト「GetHiroshima」や、外国人観光客のための広島ガイド地図を発行するなど、広島の外国人向け観光事業に積極的に協力する。英国の大学時代に日本に興味を持ち1991年に来日。大分県別府市で3年暮らした後、96年から広島で家族と暮らす。

「最初は別府が懐かしかったんですが、昼間に街歩きをするようになると、オシャレな人が多いことに気づいた。ひょっとしたら隠れ家としての広島があるのではないか、と思うようになりました」

 ポールさんが話すように、広島の街歩きは楽しい。市は人口110万人以上を抱える、中国・四国地方最大の都市にもかかわらず、すべてがコンパクトにまとまっている印象だ。路面電車の路線規模は日本一で市内均一150円。足として手軽に利用できる。市内には6本の河川が流れ、川の雁木(がんぎ)(川へ降りる階段)を乗船場にする水上タクシーは風情がある。水辺にはこじゃれたカフェがあったり、牡蠣を食べさせる店があったり。そんな街歩きを楽しむ外国人旅行者も多い。

 ロシア人のイレーナ・アンドリーヴァさん(33)が日本を訪れたのは4回目。資料館へ行ったことはないが、日本の都市の中で一番広島が好きだと言う。どこが一番好きかと尋ねれば、

「んー、街を歩くこと。ただ歩いているだけで幸せな気分になれるのが広島なんです」

AERA 2013年8月5日号