自民党の大勝利に終わった先の参院選。これを受けて、野党にも変化がみえる。

 自民党の圧勝に終わった先の参院選。安倍晋三首相が念願した「自民1強体制」が完成する中、野党は存在感を失っている。

せめて、小さすぎる野党を糾合しよう──。いま永田町では、当然と言えば当然の動きが始まっている。

 参院選投開票日の7月21日、民主党の細野豪志幹事長と日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長、みんなの党の江田憲司幹事長の3人が都内で一堂に会した。江田氏は、維新の橋下徹共同代表の「慰安婦・風俗発言」で決裂するまで、維新との選挙協力を主導してきた当事者。松野氏と細野氏は、民主党政権の“同窓”だ。この会合では、お互いが一致できる結集軸を探った可能性が高く、3人が新党構想を巡って近く勉強会を立ち上げる、とも報じられた。

 局面転換したい維新の橋下代表も、「自民党に対抗する勢力をつくらなきゃいけない」と気炎を上げる。

 現状勢力では、民主、維新、みんなの3党の衆参両院の議員全員が集まっても214人。対する自公は461人。そもそも共産、社民なども含めた全野党の共闘が実現したとしても、衆院で3分の1、参院で半数にも満たない。が、それでも2大政党の一角としての“受け皿”は必要だ。参院選投開票日の夜に突如として浮上した「野党再編」の兆しに、永田町は沸いた。

 しかし、この動きは各党の「党内政局」と表裏一体でもある。端的に言えば、民主の組合系議員や維新の旧「太陽の党」系の議員、みんなの渡辺喜美代表は排除されることになる。野党結集の求心力よりもバラバラ感の方が強調されてしまうのだ。

 細野氏は件(くだん)の会合後、海江田万里代表に対し、参院選敗北の責任追及を強めたが、累が及ぶことを恐れた輿石東参院議員会長(現・参院副議長)の逆鱗に触れ、解任に近い形で幹事長を辞任。無役の細野氏が今後、他党との接触を続けることは分派含みとなる。

 江田氏は無断で協議を進めたため、渡辺代表が「個人的にやるなら幹事長を辞めるべきだ」と激怒。党の“お家芸”である代表vs幹事長の非難合戦がまた勃発し、8月7日の両院議員総会で幹事長を「更迭」されるに至った。

 維新では、橋下代表に近い松浪健太氏らによる平沼赳夫国会議員団代表ら旧太陽系降ろしが表面化。参院選不振で橋下代表が辞意を表明したものの、国会議員団の「多数決」で留任させられる異例の展開になった。いずれにしても分裂含みだ。

 結局、彼らの結集軸では、衆参100人超の「再編の核」をつくることができるともいわれるが、その先の展望はまったくの不透明だ。

AERA 2013年8月12-19日号