スターバックスコーヒーの店舗で働くすべての人が持っているカード。すばらしい行動をした人にメッセージを入れて渡し、士気を高めあう。5枚集まると表彰も(撮影/写真部・植田真紗美)
スターバックスコーヒーの店舗で働くすべての人が持っているカード。すばらしい行動をした人にメッセージを入れて渡し、士気を高めあう。5枚集まると表彰も(撮影/写真部・植田真紗美)

 学生時代、多くの人が経験したであろうアルバイト。実は学生たちの間では、就職活動がうまくいくとされる「鉄板バイト」があるという。

 筆頭はスターバックスコーヒーだ。同社人材開発部の担当者はこう話す。

「頭ごなしに叱ったりせず、やる気を引き出すポジティブなフィードバックを心がけています」

 現在、全店で2万人程度のアルバイトがおり、うち学生は6割程度。アルバイトでも仕事を覚えていくと新人教育などを任されるようになる。四半期に一度人事考課があり、自分がどう成長したか申告するチェックシートがある。レベルに応じた個人目標もあり、チェックシートをもとに店長が話し合いの場を設けるなど、コミュニケーションをたくさんとれるような仕組みにしている。

 学内でアルバイトをさせる大学もある。嘉悦大学では、全学生の5分の1にあたる約300人が毎年学内アルバイトに従事する。学内アルバイトの運営を担当する遠山緑生准教授は言う。

「学生のうちは働くイメージがうまく持てないもの。言われたことだけをやるのが仕事だと思ってしまう傾向もあります。社会に出たら自分の頭で考えることの連続です。そういう体験を学内でさせてあげたい」

 4年生の林俊樹さん(21)は1年の時から学内のヘルプデスクでアルバイトをしている。ここでは学生や教員のパソコンについての問い合わせを受け付けている。新ソフトの講習会など自分たちで企画した学内イベントの運営にも携わった。あるIT企業の面接でこの話をしたら、その企業の仕事が学内アルバイトの仕事とそっくりだったこともあって、内定をとることができた。もともとIT業界志望だったため、希望の業界に近いアルバイトをして内定を得た形だ。

 アルバイトといえども社会人になる前のトレーニング。就活を見据え、目的意識を持って臨みたい。

AERA 2013年8月5日号