小売店の化粧品売り場には「自主回収についてのお知らせ」が掲げられた (c)朝日新聞社 @@写禁
小売店の化粧品売り場には「自主回収についてのお知らせ」が掲げられた (c)朝日新聞社 @@写禁

 カネボウ化粧品の美白化粧品を使った人のうち、6千人以上が「白斑」などの症状や不安を訴えている。肌に直接つけるものだけに、女性にとっては気になる問題だ。これを機に、化粧品についての正しい知識を見直してみたい。

 まず知っておきたいのは、一般的に化粧品と呼ばれるものには、「化粧品」と「薬用化粧品」(医薬部外品)の二つがあるということだ。薬事法ではどちらも「人体に対する作用が緩和なもの」と定義されているが、美白や肌荒れ予防、デオドラントなどの効果を持つ有効成分が配合される薬用化粧品の方が人体へ与える作用は大きい。東京逓信病院で化粧品外来を11年間担当した、おおた皮膚科の太田みどり院長は言う。

「医薬部外品は目的としている効果が認められたものですが、異常な反応が出る人もいます」

「薬用」の方が体に安全な気がするという人や、「肌が弱いから薬用の石けんや化粧品を買う」という人もいるが、誤り。「薬用」は化粧品よりもリスクがあると考えた方がいい。

 今回のカネボウの美白化粧品も「薬用化粧品」だ。美白化粧品は、皮膚の色素細胞に浸透しなければ美白効果が発揮できないため、皮膚への吸収性を高める処方が必要となる。このため、他の化粧品に比べてトラブルが起こりやすいとされる。

 神戸大学名誉教授で再生未来クリニック神戸の市橋正光院長も、美白化粧品によるトラブルの患者を診ることがある。

「シミを薄くしようと美白クリームを使ったら、まわりの皮膚の色も薄くなってしまい、クリームを塗っていない箇所を含めて肌が3色になってしまった人もいました」

 化粧品トラブルを起こさないためには使用者の注意も必要だ。

「化粧品や医薬部外品には、つける量や手順、使用方法が必ず書いてあるのですが、守っていない人が多いです」(太田院長)

 スクラブ入り洗顔料を手で泡立てずに使ったり、効果を期待して「パール大」「米粒大」の用量を守らず多く使ったりしてトラブルになることもある。

AERA 2013年8月5日号