近年、欧米の名門大学を目指す高校生が増えているといい、そうした動きを支援する学校も現れ始めている。渋谷教育学園幕張(千葉市)も海外進学者が多い学校だ。

「特にここ2、3年、海外に対する意識が高まっているように感じます。以前、海外進学者は1、2人でしたが、昨年5人と急増し、今年も6人と続いている。生徒が日本に閉塞感を感じ、将来を真剣に考えた上での結論でしょう」(田村聡明副校長)

 同校は1983年の開校当時から帰国生を受け入れ、海外研修や交換留学に力を注いできた。国際教育も盛んで、アメリカで開催される高校模擬国連国際大会には5年連続出場し、2010年と12年には優秀賞を受賞した。

 イエール大学に進学する林由季さんは動機をこう語る。

「脳科学と心理学を学びたいのに、日本では学部が理系と文系に分かれ、同時に学べる大学がありませんでした」

 ジョージア工科大学に進む渡辺祥太郎さんは、将来はシリコンバレーでの起業をもくろむ。現在もiPhoneのアプリ開発を手がけており、大学ではコンピューターサイエンスと経済学を学ぶ予定。アメリカの大学で人脈も築いていきたいという。医学研究のためUCLAへ進学する石原萌惠さんは大学院へ進み、将来は研究職に就きたいと語る。関根結花さんの夢はミュージカルの舞台。ショービジネスの本場、アメリカのイリノイウェズレイアン大学で、声楽やダンスなどを学ぶ。林さんの母、美奈子さん(48)は「心配はあるが、本人の意志が固いので尊重したい」と娘の背中を押す。

 成績の判定にはSATという科目試験のほか、課外活動や自己PRのエッセー、推薦状が課される。4人は「理系科目は普段の授業で十分対応できた」という。問題は英語。難関大はTOEFL iBT120点満点中100点を超えなければいけないとされている。帰国子女の林さんのスコアは118点。帰国子女でない一般枠の2人は、「毎日100ずつ単語を覚えた」(渡辺さん)、「毎日7~8時間くらいは英語の勉強をした」(石原さん)と、苦労したようだ。

AERA 2013年8月5日号