フィーチャーフォン=ガラパゴス携帯売り場は、面積は小さい。それでも多くの人が手に取っていた(ビックカメラ有楽町店) (撮影/今村拓馬)
フィーチャーフォン=ガラパゴス携帯売り場は、面積は小さい。それでも多くの人が手に取っていた(ビックカメラ有楽町店) (撮影/今村拓馬)

 数字は物語る──。携帯電話に占めるスマートフォン(スマホ)の契約者の割合は3月末現在、37.2%(MM総研調べ)。テレビやウェブを見たり、雑誌を読んだりしていると、スマホにあらずば携帯電話にあらずといった雰囲気さえ漂う昨今にもかかわらず、である。

 逆に契約者の62.8%を占めるものは何か。そう、ガラパゴス携帯、通称ガラケーだ。ガラケーとはそもそも、ガラパゴス化した携帯電話を指す。iモード、おサイフケータイ機能など国際標準とは異なる発展をした日本のフィーチャーフォンなどを、独自の進化を遂げたガラパゴス諸島の動植物になぞらえたものだ。

 スマホ全盛のように見える中、ここまでガラケーの使用率が高いのはなぜだろうか。携帯電話市場の調査を続けるMM総研の横田英明研究部長は、こう話す。

「社員全員に持たすなどの大口契約(法人契約)では依然として、ガラケーが多い。地方では、ガラケーの契約比率が高い場合もあります」

 ただ、それだけでは60%超がガラケーを使い続けている説明として十分ではない。横田氏は別の側面にも目を向けるべきだと続ける。

「ガラケーは流行に疎い層が使っていると思われがちですが、新たに現れた商品を最も早く受け入れるイノベーターでも、ガラケーを進んで使っている場合があるんです」

 イノベーターは、スマホではなく、「タブレット」でネットに接続し、通話や簡単なメールはガラケーで済ますという。つまりガラケーとタブレットの2台持ちなのだ。iモードを立ち上げたメンバーでもある元NTTドコモ執行役員の夏野剛・慶応大学客員教授もその一人だ。

「普段持ち歩くのは、iPadminiとガラケーです。スマホとタブレットは機能がダブるのでタブレットだけでいい。それに、スマホは電池の持ちが悪く、通話で使うと1日持たない。このバッテリーの点で、スマホはガラケーにはかなわない。iPad miniとガラケーの組み合わせこそが最強なのです」

 通話や簡単なメールのやり取りなら、スマホに比べガラケーに利があるし、動画を見る際には、画面が大きく容量も多いタブレットの方が向いている。しかも近年、持ち運びに便利な7インチ(15×9.5センチ)で2万円を切る「キンドル・ファイア」(アマゾン)、2万円前後の「ネクサス7」(グーグル)などのタブレットが相次いで発売された。圧倒的なシェアと人気を誇るiPhoneも、最新機種の「iPhone5」でも4インチしかなく、画面の小さい感は否めない。

「タブレットがスマホ市場を食っていく可能性すらある」

 アナリストらは口を揃える。

AERA 2013年7月29日号