撮影/写真部・時津剛
撮影/写真部・時津剛
東京・原宿にあるレストラン「モミノキハウス」では、アレルギーに対応した食事も提供。小麦アレルギーの人には小麦が入っていないソラマメしょうゆを、乳製品がダメな人には大豆で作ったチーズを使うなど、きめ細かに対応。オーナーの山田英知郎さんは「食べるものが心と体をつくる」と自然食にこだわる(撮影/写真部・時津剛)
東京・原宿にあるレストラン「モミノキハウス」では、アレルギーに対応した食事も提供。小麦アレルギーの人には小麦が入っていないソラマメしょうゆを、乳製品がダメな人には大豆で作ったチーズを使うなど、きめ細かに対応。オーナーの山田英知郎さんは「食べるものが心と体をつくる」と自然食にこだわる(撮影/写真部・時津剛)

 食品アレルギーというと、食べて数時間後にじんましんが…などのイメージがあるが、実は発症に時間がかかる「遅発型」アレルギーというのもある。

都内在住のフリーカメラマンの女性(34)は、昨夏、頂き物のメロンを4分の1個食べた後、数日間、体調不良が続いた。のどがイガイガし、全身がだるい。不調の原因を調べようとインターネットで検索していたら、「遅発型フードアレルギー」という症状を見つけた。

検査を実施している銀座のクリニックを受診し、96種類の食品について調べられる血液検査を受けた。ちなみに、即時型食物アレルギーの血液検査は保険がきくが、遅発型は適用外で、約3万円の費用は全額自己負担。3週間後に出た結果には、メロンはもちろん、96種類中57の食品が、7段階のうち、一定期間は食べないなどの対策を要するレベル3以上の陽性反応だった。

特に、体にいいと思って食べていた野菜や果物は大半がダメで、野菜でOKなのはニンニクとオリーブ、サツマイモ、ジャガイモだけ。コーヒーも牛乳も砂糖もNG。

「カフェオレを飲むといつも気分が悪くなるのは、これが原因だったのかと納得しました」

 遅発型は即時型と違い、半年程度アレルギー食物を除去することで改善することが多い。ただ、この女性の場合は57種類の食品を避けてしまうと食べるものがなくなる。そこで、キャベツを食べたらその後3日間は避けるようにするなど、ローテーション表を作って管理した。肉は牛、豚、鶏とも大丈夫だったが、ソースには野菜のエキスが入っているし、しょうゆも小麦が入っているからNG。仕事先に持参する弁当は、ごはんにゆでた豚肉や納豆のパックなど、シンプルなものばかりになった。そんな生活を1年近く続けたことで体調は改善し、ダイエットしていたときには減らなかった体重が5キロ減った。

 遅発型食物アレルギーの症状は、頭痛、下痢、疲労感、肌荒れなど多彩で、しかも症状が現れるまで時間がかかるため、不調の原因だと気づきにくい。

AERA  2013年7月8日号