6月に入って、学生が企業の就業体験などができるサマーインターンシップの募集が次々と始まっている。年々導入企業も参加学生も増えており、就職活動は夏からスタートと考える学生も多いようだ。実際、春から初夏にかけての3年生向け就活イベントは早くも学生でにぎわっている。

 一般的には「インターンシップと採用は関係がない」とする企業も多いが、とある調査によると、実に5割近い企業が選考・内定直結型インターンシップの導入に前向きだということがわかる。2012年の4月25日から5月3日の間に就職情報会社Jobwebが行った調査では、参加経験がある学生の内定所有率はそうでない学生のほとんど倍だ。内定に直結するインターンシップに参加した人もいるが、日本ではそのような形式はまだ多くない。それでも差がついているということは、インターンシップで得た経験が就職活動に生かされていると言えるだろう。

 それでは、実際に企業ではどんなインターンシップを行っているのか。

 ソフトバンクでは、今年300人程度のインターン生を受け入れる。「就業体験をさせる」ことを重視し、実際の現場に2~4週間インターン生を配置する。職場に学生を任せるとなると、現場の社員の負担が増えたり、セキュリティーの問題があったりと調整が難しいのでは、と思うが、

「それでも実際に仕事を経験してほしい気持ちのほうが大きい」(人事担当者)

 という。参加者は期間限定の社員のような扱いで、入館証を発行され、iPhoneとiPadを一人1台ずつ貸与される。昨年参加し、内定をとった学生によると、毎朝社員と一対一で打ち合わせをしたり、ミーティングに参加したり、本当に新入社員のような仕事を経験できたという。実施期間中は全員に850円の時給まで支払われた。

「インターンをすると、入社前に会社との相性を見ることができます。働いてみて、面白いと思うことができたので、志望動機も具体的に言うことができたのだと思います」

 インターン生の中で優秀だった人に関しては、本採用時の選考回数が少なくなるなど、優遇されるケースもあるという。

AERA 2013年7月1日号