日米ともに急騰している株式市場。低迷相場に慣れた身としては、そろそろ心配になってくる。今後、株価はどう推移していくか、専門家の見方は分かれる。

「2014年末までの間に、日経平均が1万8千円台までいくことは論理的にありえます」

 クレディ・スイス証券の市川眞一チーフ・マーケット・ストラテジストはそう分析する。米国経済の着実な改善、13年度企業業績の大幅な増益、日本銀行による「異次元の金融緩和」が、その要因になるという。

 第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏は、参院選までに「期待のイベント」が出尽くし、その後は来年度の消費増税に向けて不透明感が出てくると見ている。また来年1月には金融所得への増税が予定されており、年内に利益確定売りが出る可能性もあると言う。それでも、年末までに日経平均は1万5千円台をつけると考える。

「今年後半以降、米国の成長が加速すると見られるためです。そうなれば、米国の金融政策が引き締めに転じるかどうかの議論が出てきて、為替がドル高に進みます。また国内要因では、いまはまだ売り越している国内機関投資家が、どこかの段階でポートフォリオを見直し、買いに入ってくる可能性があります」

 JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳グローバル・マーケット・ストラテジストも、外国人投資家のなかでも年金基金やSWF(政府系投資ファンド)など「足の遅い投資家」が、日本株に対して徐々に腰を上げ始めていると指摘する。

 金融評論家、ぐっちーさんこと山口正洋氏の見方は少し異なる。

「いまより上がる理由はもう見つかりません。ただ、米国景気の回復基調が鮮明なので、下がることもないでしょう。1万4千円台の水準で、このまま推移するのではないか」

 もちろんリスクはある。最大のリスク要因はやはり欧州情勢と見られる。山口氏は、ECB(欧州中央銀行)によるOMT(新たな国債買い入れプログラム)の効果を認めつつも、こう話す。

「本来であればこの間に、問題国の失業率改善などが起きていないといけない。しかし、その兆候が見られない。ECBは紙くずみたいな国債を買い続けているわけで、『グラスの中の水』があふれてしまう時が『いつか来る』という状況です。欧州のサッカー選手たちが、年俸交渉においてドル建ての支払いを主張してもめているのは、その表れなのです」

AERA 2013年5月20日号