高まる大地震のリスク。東日本大震災による財政悪化で、年内にも大幅に値上げされる。

 予定されている保険料率の引き上げ幅は、平均15.5%、最大で30%だ。地震発生によるリスク度や、建物の耐震性能によって引き上げ幅に差があり、南海トラフ地震の発生時に大きな被害が想定されている地域などは最も大きい。

 木造戸建ての保険料(保険金額1千万円、期間1年、割引適用なしの場合)で見ると、徳島や高知では、現行より6400円もアップ。マンションなど耐火・準耐火建築物(同条件)は、東京、神奈川、千葉のほか愛知、静岡で3300円上がる。

 一方で、山梨、長野、滋賀、岡山、広島は地震の危険度が低いと判断されて、おおむね1~2割の値下げとなる。

 大幅値上げは阪神淡路大震災後の1996年以来、18年ぶり。損害保険会社でつくる損害保険料率算出機構が、3月末に監督官庁の金融庁に新料金体系を届け出た。審査を経て、早ければ年内にも値上げされる。今のところ、来年7月ごろに一斉に値上げされるとの見方が有力だ。すでに契約している人の保険料も契約更新時に上がる。

 保険料の割引制度も今回、見直される。

「これまでの被害から、耐震性能が高ければ被害を大きく抑えられることはわかった」(同機構)として、被害にあいにくい建物の保険料の割引を拡大する。免震建築物は現行の30%から50%に。さらに耐震性能が中程度(耐震等級2)の場合は現行20%の割引が30%に、耐震性が高い(耐震等級3)場合は30%が50%の割引率になる。

 ほかにも、現在もある割引制度として、81年の耐震基準を満たした建物向けの建築年割引(1割)、耐震診断割引(1割)がある。ただ、割引制度の重複利用はできない点に注意が必要だ。

AERA 2013年5月27日号