Free Agent Style HD会長与沢翼(30)成金趣味をアピールし「ネオヒルズ族」と呼ばれるが、「知名度を上げるため」と割り切っている。「日本を救うのは『学び』。10年後は政府の委員をやったり、社会人大学を開設したりしたい」(撮影/高井正彦)
Free Agent Style HD会長
与沢翼(30)
成金趣味をアピールし「ネオヒルズ族」と呼ばれるが、「知名度を上げるため」と割り切っている。「日本を救うのは『学び』。10年後は政府の委員をやったり、社会人大学を開設したりしたい」(撮影/高井正彦)

 六本木タワーのタワーマンション最上階や広尾など、都内一等地に自宅を五つ。7千万円のロールスロイスをはじめフェラーリ、ベントレーと外車3台、腕時計はパテック・フィリップにハリー・ウィンストン、時々利用するヘリコプターのチャーター費用は1回170万円、3800万円を費やして自著の広告を1週間、関東全域のJR東日本の列車内に掲示させる。ランチのために彼女とヘリで長野に移動し、「上空からの景色が前菜」とそばをすする―――。

 ネットを利用した広告システム「アフィリエイト」を軸にしたIT関連企業「Free Agent Style HD」会長の与沢翼(30)は、常軌を逸したカネの使い方で最近、バラエティー番組に頻繁に出演している。「嫌消費」世代、「さとり」世代―――そんな言葉で語られることが多い同世代人とは一線を画す。

 夢を与えられる存在になりたい。そう与沢は言う。

「今の自分たち以降の世代は元気がないし、ヒーローがいない。僕のような若い人間がこういう生活を見せることで、若い人たちに刺激を与えたい。僕は刹那的なので、こういう生活が全部なくなっても別に構わない」

 23歳で起業した会社が2年前に倒産。その直後にアフィリエイトを活用したビジネスモデルを考え、短期間でグループ全体では月商5億円を売り上げる会社に成長させた。

「一社にしがみつく生き方はリターンが少なすぎる。未来に危機感を持っていながら何も考えない、何も動かない層に対しては、僕は見下します」

 一昔前ならバブル時代の亡霊にしか見えなかった与沢に、いま少しずつ時代が追いつきつつあるように見える。(文中敬称略)

AERA 2013年5月6日・13日号