国内外でその安全性が疑われている、中国製品。国土の汚染やモラルの低さは、国民の命を危険にさらしている。

「中国の19の省の中心都市の4割で地下水はひどく汚染されている」。中国誌「南風窓」は3月、水利省などの調査として伝え、中国誌「新世紀」が2011年に報じた「中国の米の1割がカドミウムに汚染されている」という南京農業大学の調査結果に続き、衝撃を与えた。別の試算では毎年1200万トンの穀物が重金属汚染にさらされているという。

 環境保護省が北京市内のビルの一室に設けた展示には、「汚染で退化した耕地は絶え間なく増えている。経済が発展した南部の地域では4割の田畑で重金属が含まれる濃度が基準値を超えている」と汚染の現況が赤裸々に綴られるが、一般公開はしていない。

 だが、中国政府も世論の反発を受け、中国の空気、水、土の汚染を認めざるを得なくなっている。同省が2月に発表した化学物質リスク管理計画では、中国内の川や湖、海、野生動物、人体から多種の化学物質が検出されていると指摘。内分泌を撹乱する物質が高い濃度で存在しているケースもあるという。これまで見ないふりをしてきた、化学物質がもたらした深刻な公害病が発生している「がん村」の存在も記述した。

 北京のある環境NGOの幹部は言う。

「水、空気、土が汚れている場所でどうして安全な食べ物が育つの。エビアン水でも輸入して野菜や米も水栽培するのか」

 そのエビアン水にも偽物が交じる。メラミン入りの粉ミルクで乳幼児が被害を受けたり、地溝油といわれる廃棄物から作った有毒油が流通。通常の2倍から数十倍の値段の高級スーパーの有機野菜ですら、心配しながら買っているのが現状だ。

AERA 2013年4月22日号