アベノミクスによる株価急上昇に、「乗り遅れるな」と浮足立つ人たち。しかし本当のところ、いつが売買のタイミングなのだろうか。3人のエコノミストに聞いた。

『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!』を書いたエコノミストの中原圭介氏(アセットベストパートナーズ社長)は「シェールガス革命で米国が復活し、日本の技術や協力が不可欠になるので、千載一遇のチャンス」と言い、日本株の相場に影響を及ぼす為替水準に注目する。中原氏は「1ドル100~110円のレンジまでは株価が上昇すると予想される」と言う。それでも相場予想は3人の中では慎重で、ピークは4~5月の上限1万4千円だ。

 理由は「100円台の円安が長期化して、日本の経常黒字額がゼロに接近し、せっかくの『良い円安』が『悪い円安』に転化する潮目も」と指摘する。

 一方、経済ブログ「金融アナリストの独り言」が好評の永野良佑氏は、6月に発表される安倍政権の成長政策や国土強靱化政策に絡めて、「所得倍増・列島改造への期待感。参院選の前哨戦の都議選も株価を左右します」と言う。

 永野氏によると、都議選の自民党圧勝で、7月には1万2千円から1万5千円の展開となり、8月のお盆休み明け後、年末にかけて1万6500円をうかがうと見る。「積極予算案への期待膨らむ」「インフレ期待一層膨らみ、大相場へ」と記事の見出しまで考えてくれた。

 第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏は、「近く始まる企業の決算発表の今期の業績予想は割と慎重になる見込みです」などいくつかの理由を挙げ、当面の株価の上下は限定的と見ている。

 ただ夏場に消費者物価がプラスに転化するなどデフレ脱却の指標が出て、また年末にかけて米国経済が上向くとして、年末までに1万4500円までの高値を予測している。

AERA 2013年4月22日号