「くらたま」こと漫画家の倉田真由美さんには、「だめんず」より手に負えないものがある。それは株だ。

 彼女は2005年から株を始めた。ここ数年、「負けているだろう」と思い、ほぼ放置してきたが、今年に入り連日の株価上昇の話題に興味が再燃。これまでの収支を税理士に確認したところ、想像を大きく超える「負け越し」。

 損失額は「これまで男に貢いだり、貸したりした額をはるかに上回る」1千万円を超え、「株は男より難しい」と痛感した。そこで出てきたのが「株との交際マニュアル」。

「パートナーの騰落は予想できるが、株は予想範囲をはるかに超える」
「付き合う相手が、自分にとってマイナスなのがプラスに転じることはないが、ダメ株は大化けする」

 一橋大学商学部卒で、経済についてまったくの素人ではないが、これまで「よりによってこの銘柄が」と、後悔するものばかり選んできた。

 忘れられない銘柄は子どもが好きだったおもちゃメーカー。「子ども心をこんなにつかむのなら」と有り金全部つぎ込み、一株1500円で買った株は、最後は子どもへの愛情で目がくらんだ自分を恨みつつ、160円で売った。

 一方で、あのとき売らなきゃよかったという銘柄も。

「ファーストリテイリングは購入時より高い1万4千円で売りましたが、いま持っていれば3万5千円ぐらい。オリンパスも粉飾決算の影響で下落し始めたとき売ったけど、今また上がってきている。あのまま持っていれば」

 後悔ばかりの日々を振り返り、「株は勝っているときに売らないといけないのに、タイミングが難しい」と嘆く。それでも「今度こそは」と、株の塩漬けに挑戦中。「男とは別れられるけれど、株とはなかなか別れられない」と苦悶する。

AERA 2013年4月22日号